【まだ知らない場所】はじめての道と、知らない場所〈リク編 第13話〉

リク編第13話「まだ知らない場所」OGP用画像 リク編

このページは、リク編 第13話「まだ知らない場所」の絵本ページです。リクがいつもの道を少し外れ、知らない場所へ歩いていく場面を描いています。絵本のあとに、ことばのページ・本文書き起こし・保護者向けの読み取りメモを掲載しています。

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ことばのページ|読み終わったあとに親子で話す問い

リクが歩いていた道、
はじめての道だったね。

はじめての場所は、
どんな気もちが
したのかな?

ルリは、リクの
ななめうしろにいたね。

前でも、よこでもなく、
うしろで、
ただ、見ていた。

📝 本文書き起こし

放課後だった。リクは、机の上のノートを見た。きのうの文字は、まだ残っていた。

白いところは、少なかった。リクは、うなずいた。だれにも言っていないのに、胸の中だけ、少しだけ、軽かった。

「……行ってみよう」声には、しなかった。でも、足が、動いた。

玄関を出ると、風が、通った。塀の近くで、座っていた。リクは、しゃがんだ。「なあ。いっしょに、行く?」

リクが立ち上がって歩き出すと、小さな足音が、あとからついてきた。リクは、ふり向かなかった。うれしい、とも言わなかった。ただ、歩いた。

商店街をぬけて、駅の方へ行く道を、少しだけ外れた。知らない道だった。リクは、止まった。看板を見た。

その先に、大きな建物があった。高い窓。長い扉。静かな空気。リクは、立ったまま、見た。「ここ……」

リクは、扉の前に立った。手を、のばした。取っ手は、冷たかった。押した。扉は、思ったより、軽く開いた。

中は、広かった。音が、ちがった。外の音が、遠くなった。天井が、高かった。光が、上から落ちていた。リクは、口を開けたまま、止まった。「……すごい」

奥の方に、小さな扉が見えた。リクは、そこへ行った。近づくほど、静かになった。リクは、扉の前で、立ち止まった。中から、なにか、聞こえた。リクは、扉に手をかけた。でも、開けなかった。手は、止まった。

リクは、ゆっくり、後ずさった。胸が、どきどきしていた。でも、走らなかった。リクは、扉から目をはなさないまま、一歩、さがった。そのまま、教会の広い空間の方へ、戻った。

今日の道は、いつもの道じゃなかった。でも、ちゃんと、帰れる気がした。

📖 保護者向けの読み取りメモ

第13話「まだ知らない場所」は、リクがいつもの道を少しだけ外れて、知らない場所に行ってみる物語です。
リク編とナオ編をつなぐ特別編として描かれています。

1. 「知らない道」を選ぶということ

子どもにとって「いつもの道」は安心の場所です。だからこそ、そこから一歩外れて自分で選んで知らない道に入ることは、小さくても大きな冒険になります。誰かに言われたのではなく、自分の足が動いた。それは、リクの中で何かが少しずつ整っているサインかもしれません。

2. ルリは、ななめうしろにいた

ルリは、リクの前でも横でもなく、ななめうしろを歩きました。前を歩けば導くことになり、横を歩けば並ぶことになる。うしろは、見守る位置です。リクは振り向かなかったけれど、その足音が背中で聞こえていることを、たぶん知っていました。

3. 扉を「開けなかった」選択

教会の奥にあった小さな扉に、リクは手をかけました。でも、開けませんでした。
これは引き返したのではなく、今日はここまでと、自分で決めた瞬間です。「全部を見なくていい」「次にまた来ればいい」。そういう感覚を持てたことは、リクの内側で大きな一歩でした。

4. 「ちゃんと、帰れる気がした」

最後のページ、「今日の道は、いつもの道じゃなかった。でも、ちゃんと、帰れる気がした」。
知らない場所に行っても、戻る道筋が見えていれば、子どもはもう少し先に進める。安全基地のような感覚は、こうやって少しずつ広がっていくのかもしれません。

5. 親子で話してみたいこと

・「リクは、なんで知らない道に行ってみたんだろう?」
・「扉を開けなかったとき、どんな気持ちだったかな?」
・「あなたにも、ちょっとだけ冒険してみたい場所、ある?」

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※ この物語は、診断や治療、支援方針の代替ではありません。困りごとが続く場合は、専門の医療機関・相談機関にご相談ください。


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