【聞きなさい】聞いていたのに、届かない〈リク編 第4話〉

コーキの探偵日記 リク編 第4話「ききなさい」表紙 リク編

このページは、リク編 第4話「聞きなさい」の絵本ページです。朝、三つの指示を聞いたリクが、どこから始めるかわからないまま動き続ける場面を描いています。絵本のあとに、ことばのページ・本文書き起こし・保護者向けの読み取りメモを掲載しています。

表紙|コーキの探偵日記 リク編 第4話「聞きなさい」
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📖 ことばのページ

みっつ、きいたね。
どこからはじめるか、
わかったかな?

「きいていたか」って、
きかれた。
リクは、うなずいた。

きいていた。
ちゃんと、きいていた。
でも……。

シャツは、まだ、
てにあった。

聞いていたことも、シャツのことも、
どちらも、リクの中にあった。

お し ま い

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📝 本文書き起こし

朝だった。リクは、へやにいた。シャツを、手に持っていた。でも、まだ、着ていなかった。

「リク」おとうさんの声がした。「シャツ着て。歯みがきして。そのあと、ランドセルな」

リクは、うなずいた。シャツを、見た。歯ブラシも、思い出した。

リクは、へやを出た。洗面所で、水を出した。歯ブラシを、にぎった。そのとき、シャツが、頭に浮かんだ。リクは、水を止めた。

へやに、もどった。シャツを、持った。でも、ランドセルが、目に入った。床に、ひらいていた。プリントが、はみ出していた。

リクは、プリントを、そろえた。

「リク!」おとうさんの声が、強くなった。リクは、止まった。

「話、聞いてたか」リクは、うなずいた。聞いていた。ちゃんと。でも、どこからだったか、わからなかった。

外に出ると、空気が、少し冷たかった。ルリが、先に歩いていた。ときどき、止まる。また、歩く。リクも、止まった。また、歩いた。

少し離れたところに、コーキがいた。何も言わなかった。リクは、歩いた。シャツは、まだ、手にあった。

📖 保護者向けの読み取りメモ

第4話「聞きなさい」は、朝の支度で三つの指示を受けたリクが、どこから始めるかわからないまま動き続ける場面を描いています。「聞いていなかった」のではなく、「聞いていたのに届かなかった」という体験が、静かに丁寧に描かれています。

1. 三つの指示を一度に受け取ること

「シャツ着て。歯みがきして。ランドセルな」。大人にとっては当たり前の三つの手順でも、一度に複数の指示を受け取ると迷いやすい子どもにとっては、最初の一歩を決めること自体が大きな仕事になります。リクはうなずきました。理解しようとしていました。

2. 動いているのに「動けていない」ように見える

リクは洗面所に行き、シャツのことを思い出し、部屋に戻り、ランドセルのプリントに気づき、それをそろえました。ひとつひとつに反応して動いていたのです。でも外から見ると、「まだシャツを着ていない」「まだ歯みがきをしていない」という状態にしか見えません。

3. 「聞いてたか」への答え

リクは「うなずいた」。嘘をついたのではありません。本当に聞いていたのです。でも「どこからだったか、わからなかった」。聞くことと、順番通りに実行することは、別の力が必要です。「なぜ言われた通りにしないの」と問う前に、「どこから始めればよかったか、一緒に確認しよう」という声かけが、次の一歩を動かすことがあります。

4. 親子で話してみたいこと

・「リクは、三つのうちどれから始めようとしたのかな?」
・「歯ブラシを持ったとき、なんでシャツのことを思い出したんだろう?」
・「あなたも、いくつかのことを一度に言われると、どんな気持ちになる?」

答えを出す必要はありません。「一つずつ確認しながら進めていい」と伝えるだけで、子どもの朝が少し変わることがあります。

5. 関連する物語

同じ朝を、別の視点でも描いています。

大人編 第4話「聞きなさい」──父の側で起きていた焦り
ナオ編 第4話「聞きなさい」──指示が届かない内側の感覚

※ 本記事は医療的な診断や治療、個別の支援方針の代替ではありません。困りごとが続く場合は、学校・自治体の相談窓口・発達障害者支援センター・医療機関などにご相談ください。


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