【ぼくのペース】自分の速さで、歩いていた〈リク編 第11話〉

コーキの探偵日記 リク編 第11話「ぼくのペース」アイキャッチ リク編

このページは、リク編 第11話「ぼくのペース」の絵本ページです。支度の途中で何度も止まりながら、自分の速さで歩き出すリクを描いています。絵本のあとに、ことばのページ・本文書き起こし・保護者向けの読み取りメモを掲載しています。

表紙|コーキの探偵日記 リク編 第11話「ぼくのペース」
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📖 ことばのページ

リクの手は、
どうして何度も
止まったのかな。

おとうさんの背中は、
リクには、どんなふうに
見えていたのかな。

ルリは、鳴かずに、
ただ見ていたね。

「自分の速さ」って、
どんな速さだろう。

遅れた道のりも、
ぼくの速さで、歩いていた。

お し ま い

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本文書き起こし

朝だった。リクは、へやにいた。シャツを、手に持っていた。着ようとした。でも、手が、止まった。

ボタンを、見た。一つ。もう一つ。考えていたわけじゃなかった。でも、体は、動かなかった。

「リク」おとうさんの声がした。「早くしなさい」それだけだった。強い声じゃなかった。いつもの声だった。

リクは、うなずいた。シャツを、着た。でも、途中で、また、止まった。

ズボンを、はいた。ベルトを、通した。通したまま、手が、止まった。玄関の音がした。おとうさんが、外に出た。

しばらくして。リクは、くつを、はいた。ひもを、結んだ。玄関を、出た。

塀の上に、ルリが、いた。動かなかった。リクを、見ていた。鳴かなかった。

外には、もう、背中があった。おとうさんは、先を、歩いていた。止まらなかった。リクは、歩き出した。

同じ道だった。リクは、少し、速く、歩いた。前を、見た。おとうさんの背中は、だんだん、小さくなった。

リクは、歩いた。自分の速さで。

保護者向けの読み取りメモ

第11話「ぼくのペース」は、朝の支度で何度も手が止まるリクと、先を歩くおとうさんの背中を描いています。リクは支度を拒んでいるのではありません。シャツを持ち、ボタンを見て、ベルトも通しています。それでも、次の動きへ移るところで体が止まる時間があります。

1. 考えていなくても、体が止まる

リクは何か別のことを考えているわけではありません。理由を探しても、はっきりした答えは出ません。動作の切り替えには、本人にも見えにくい力が必要なことがあります。

2. うなずいた後にも、止まる

「早くしなさい」は届いています。リクはうなずき、シャツも着ます。それでも途中でまた止まります。理解することと、動作を途切れず続けることは別です。返事ができたからすぐ動けるとは限りません。

3. 先に出ていく音

玄関の音がして、おとうさんは先に外へ出ます。急かす声はもうありませんが、時間の差は背中として見える形になります。比べる相手が目の前にいなくても、遅れている感覚は残ることがあります。

なお、子どもが大人より遅れて外へ出る場面は、ひとりで行動させることを勧める意図ではありません。年齢や通学路、道路状況に応じて、大人が安全を確認する必要があります。

4. 鳴かずに見ているルリ

ルリは塀の上から、リクを見ています。声をかけず、追い立てず、動きません。リクの動き出すタイミングを変えようとせず、そこにいる視線です。

5. 自分の速さで歩く

リクは少し速く歩きます。それでも距離は縮まりません。最後に残るのは、追いつけたかではなく「自分の速さで」歩いたことです。結果の速さだけでなく、止まりながらも自分で次の動きを始めたことに注目できます。

「自分のペースを尊重する」とは、放っておくことではありません。必要な準備や安全を支えながら、本人が次の動きに移る時間を少し残すことです。

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大人編 第11話「ぼくのペース」――先を急ぐ大人の側から
ナオ編 第11話「ぼくのペース」――自分の速度を取り戻す側から

※ 本記事は医療的な診断や治療、個別の支援方針の代替ではありません。困りごとが続く場合は、学校・自治体の相談窓口・発達障害者支援センター・医療機関などにご相談ください。


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