【見つからない】探していたものは、どこにあるのか〈リク編 第6話〉

OGP|コーキの探偵日記 リク編 第6話「見つからない」 リク編

このページは、リク編 第6話「見つからない」の絵本ページです。朝、探しているものが見つからないまま、同じ場所を何度も見てしまうリクの時間を描いています。絵本のあとに、ことばのページ・本文書き起こし・保護者向けの読み取りメモを掲載しています。

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ことばのページ|読み終わったあとに親子で話す問い

リクは、
どこを見ていたのかな?
何を、思い出そうと
していたのかな。

さっき見た場所を、
もう一度見たね。
どうして、また
見たくなったのかな。

名前は、思い出せた。
でも、場所は、
わからなかったね。

コーキは、
リクの手を見たね。
でも、何も
言わなかったね。

本文書き起こし

朝だった。家の中は、少し、ばたばたしていた。リクは、へやにいた。

机の上を、見た。なかった。つぎに、いすの下を、見た。なかった。

ベッドの上。カバンの中。ポケット。なかった。

「……あれ」声は、小さかった。リクは、立ったまま、止まった。

きのうのことを、思い出そうとした。でも、うまく出てこなかった。

リクは、しゃがんだ。床を、ゆっくり見た。なにも、なかった。

「リク」おとうさんの声がした。「もう時間だ」リクは、うなずいた。うなずいたけれど、足は、動かなかった。

リクは、もう一度、机を見た。さっき、見たはずだった。でも、また、見た。引き出しを、少し開けた。また、閉めた。

「ここじゃない」そう思った。でも、どこかも、わからなかった。

リクは、へやを出た。廊下を、歩いた。玄関の近くで、止まった。くつの横を、見た。なかった。

リクは、くつを、そろえた。それでも、なかった。

「リク」もう一度、声がした。今度は、近かった。「行くぞ」リクは、うなずいた。名前は、思い出せた。でも、どこにあるかは、わからなかった。

外に出ると、空気が、少し冷たかった。少し先で、ルリが歩いていた。ときどき、止まる。また、歩く。リクは、あとを歩いた。

角を、ひとつ曲がった。向こうから、コーキが来た。すれちがいそうになって、コーキは、足を止めた。リクの手を、ちらっと見た。何も言わなかった。

リクは、歩いた。探していたものは、見つからないままだった。

保護者向けの読み取りメモ

第6話「見つからない」は、朝の支度の中で、リクが探しているものを見つけられない場面を描いています。ここで起きているのは、単に「探し方が足りない」ということではありません。見ているのに見つからない、思い出そうとしているのに手がかりが出てこないという内側の止まり方が、静かに描かれています。

1. 探している場所が増えていく

机、いすの下、ベッド、カバン、ポケット。リクは何もしないで止まっているのではなく、いくつもの場所を見ています。それでも「なかった」が続きます。外からは同じところをうろうろしているように見えても、本人の中では、手がかりを探そうとする動きが何度も起きています。

2. 「昨日のこと」がうまく出てこない

リクは昨日のことを思い出そうとします。でも、うまく出てきません。忘れた、覚えていない、と簡単にまとめる前に、記憶の中にあるはずのものへ届かない感覚として読むと、場面の苦しさが見えてきます。探しているものは物だけではなく、「どこに置いたか」という流れそのものでもあります。

3. さっき見た場所を、また見る

リクはもう一度、机を見ます。さっき見たはずなのに、また見ます。これは不自然な行動ではなく、確信が持てないときに起きる確認の繰り返しです。「ここじゃない」と思えても、「ではどこか」が出てこない。その空白が、次の一歩を止めています。

4. うなずいても足が動かない

おとうさんの声にリクはうなずきます。言葉は届いています。それでも足は動きません。ここには、第4話と似た「聞いているのに実行へつながらない」感覚があります。時間が迫っていることをわかっていても、探しものが見つからないまま次へ進むことが、本人には難しい場合があります。

5. 何も言わない視線

外でコーキは、リクの手をちらっと見ます。そして何も言いません。この「見たけれど、言わない」場面は、叱責でも答え合わせでもありません。探していたものが見つからないまま歩くリクを、そのまま見ている時間です。見つからないことを責める前に、見つからないまま進むしかない朝があったと受け止める余白が置かれています。

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※ この物語は、診断や治療、支援方針の代替ではありません。困りごとが続く場合は、専門の医療機関・相談機関にご相談ください。


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