2026-04

ナオ編

【見つからない】探しているのに見えてこない認知のズレ〈ナオ編 第6話〉

ナオ編・第6話 見つからない 玄関で、姉が立ち止まった。 靴はもうはいている。 カバンを肩にかけたまま、振り返った。 「ねえ。 昨日、教えてあげた宿題のプリント、持った?」 ナオは、少し間を置いて答えた。 「……入れた」 声に迷いはなかった...
ナオ編

【手放せない】やめたいのに止められない夜に残っていたもの〈ナオ編 第5話〉

ナオ編・第5話 手放せない 部屋は、暗かった。
ナオ編

【聞きなさい】聞いていたのに届かなかった言葉のすれ違い〈ナオ編 第4話〉

ナオ編・第4話 聞きなさい 夕食の時間だった。 テーブルの上に、湯気が立っていた。 ナオは、少し背筋を伸ばしていた。 今日は、話したいことがあった。 「今日のテストさ」 ナオは、箸を持ったまま言った。 「前より、点よかった」 父は、顔を上げ...
ナオ編

【どうして?】答えられない沈黙の中で起きていること〈ナオ編 第3話〉

ナオ編・第3話 どうして? 校庭は、ざわざわしていた。 白い線と、たくさんの声。 試合の終盤だった。 ナオは、後ろの方にいた。 守る位置だった。 味方が、前に出ていた。 いい形だと思った。 ナオは、一瞬だけ、考えた。 次は、どこに動くか。 ...
ナオ編

【ちゃんとしなさい】“ちゃんと”の基準が見えないまま動けなくなる理由〈ナオ編 第2話〉

ナオ編・第2話 ちゃんとしなさい 教室は、ざわざわしていた。 朝の音が、まだ残っている。 ナオは、席に座っていた。 ノートを、机の上に出している。 宿題のページも、ひらいてあった。 順番が来て、前に出た。 ノートを、先生の机の上に置いた。 ...
ナオ編

【早くしなさい】急かされるほど止まってしまう心の内側〈ナオ編 第1話〉

ナオ編・第1話 早くしなさい 玄関は、少しせまかった。 朝のにおいがしていた。 姉は、もう靴をはいていた。 かかとを入れて、ドアに手をかける。 「行ってきます」 言い終わる前に、外へ出ていった。 ドアは、閉まらなかった。 冷たい空気が、玄関...
大人編

【できた】小さな成功が関係を変えるとき〈大人編 第12話〉

s 大人編・第12話 「できた」 朝の空気は、少し冷えていた。 ケイイチロウは台所で湯を沸かしながら、時計を見る。 いつもより、少し早い。 廊下の奥から足音がする。 息子が、眠そうな顔で姿を現した。 「おはよう」 小さな声。目をこすりながら...