ナオ編

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【まだ知らない場所】―見守る人 ― 探偵になる前の話―〈ナオ編 第13話〉

ナオ編・第13話 まだ知らない場所 ――見守る人 ― 探偵になる前の話―― 教会の中は、静かだった。 昼でも夜でもない時間で、 光は高い窓から、細く差し込んでいた。 ナオは、入口の近くの椅子に座っていた。 座ったまま、動かなかった。 何かを...
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【できた】小さな達成が言葉になるとき〈ナオ編 第12話〉

ナオ編・第12話 できた 夜だった。 家の中は、テレビの音もない。 リビングの明かりだけが、ついていた。 ナオは、自分の部屋にいた。 机の上に、ノートを広げた。 筆箱を開けた。 シャーペンを一本、出した。 やる気が、ないわけじゃない。 でも...
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【ぼくのペース】“遅い”ではなく、違う速さで進んでいるだけかもしれない〈ナオ編 第11話〉

ナオ編・第11話 ぼくのペース 朝の台所は、もう動いていた。 父は、食事を終えていた。 新聞をたたみ、時計を見て、上着を手に取る。 いつもと同じ速さで、いつもと同じ順番だった。 姉は、まだ食べていた。 スマホを見ながら、ゆっくり。 箸は止ま...
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【がんばれ】同じ言葉なのに重さが変わる理由〈ナオ編 第10話〉

ナオ編・第10話 がんばれ 朝の食卓は、静かだった。 テレビはついていない。 父は、スマホの画面を下に置いて、味噌汁を飲んでいた。 「今日は……がんばれよ」 唐突だった。 ナオは、箸を止めたまま、父を見た。 理由は、言われなかった。 何につ...
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【ひとりにして】近すぎると苦しい心と、ちょうどいい距離〈ナオ編 第9話〉

ナオ編・第9話 ひとりにして 教会の前まで来たとき、 ナオは足を止めた。 中から音はしない。 扉は閉まっている。 でも、ここは静かすぎて、 逆に入りやすかった。 ナオは扉に手をかけた。 押すと、少し重くて、 ゆっくり開いた。 きい、と小さな...
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【わるくないのに】責められていないのに涙が出る夜〈ナオ編 第8話〉

ナオ編・第8話 わるくないのに 夕方だった。 夕飯はもう終わっていた。 皿は片づけられて、 テーブルの上は、きれいだった。 リビングには、父とナオだけがいた。 父はソファに座って、新聞を広げていた。 ページをめくる音が、ときどきした。 ナオ...
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【集中できない】止まれなかった時間にあった“集中”の正体〈ナオ編 第7話〉

ナオ編・第7話 集中できない 教室は、いつもよりにぎやかだった。 机が後ろに寄せられて、床には大きな紙が広げられている。 文化祭の準備だった。 クラスの出し物は、演劇。 ナオは、大道具係になっていた。 背景の絵を描く役だった。 筆を持つと、...
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【見つからない】探しているのに見えてこない認知のズレ〈ナオ編 第6話〉

ナオ編・第6話 見つからない 玄関で、姉が立ち止まった。 靴はもうはいている。 カバンを肩にかけたまま、振り返った。 「ねえ。 昨日、教えてあげた宿題のプリント、持った?」 ナオは、少し間を置いて答えた。 「……入れた」 声に迷いはなかった...
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【手放せない】やめたいのに止められない夜に残っていたもの〈ナオ編 第5話〉

ナオ編・第5話 手放せない 部屋は、暗かった。
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【聞きなさい】聞いていたのに届かなかった言葉のすれ違い〈ナオ編 第4話〉

ナオ編・第4話 聞きなさい 夕食の時間だった。 テーブルの上に、湯気が立っていた。 ナオは、少し背筋を伸ばしていた。 今日は、話したいことがあった。 「今日のテストさ」 ナオは、箸を持ったまま言った。 「前より、点よかった」 父は、顔を上げ...